緊急事態宣言は、出ない。
なぜ宣言が出ないのか?
イライラしている方も多いでしょう。
「出せばピークを遅らせて、医療崩壊を防げるんじゃないの?」
そんな時期はとっくに過ぎました。
いまカウントダウンです。
急性期病床がどれほど削減されてきたか。
感染症対応には、訓練と運用をうけたスタッフとリーダーが、相当数必要なのです。
ベッドがあれば患者を収容できるわけではないのです。
普通の医療者が対応すれば、たちまち医療者への感染や、院内感染が広がるでしょう。
そしてそれは、不可避です。
日本の人口はそんなに少なくありません。
安全なベッドの数が決まっている以上、一定の割合で患者は増えていくでしょう。
ワクチンができるまでは。そしてそれがいきわたるまでは。
それはいつなんでしょう?
ーそれまでは患者はだらだらと、あるいはぐいぐいと、増え続けるわけです。
日本の人口(1.2億人)をなめてはいけない。
ドイツ(8千万人)よりイタリア(6千万人)より多いのですよ。
ピークを先延ばししたところで、ベッド数の限界はすぐ近くに来ていますし、人工呼吸器も多くはない。また、ワクチンがない以上、増加傾向に歯止めはない。
宣言を出していろいろ強制しても、状況は変わらないということです。
宣言を出してしまっても結果は変えられないばかりか、一度出せば効力を失います。次の手は、ない。
つまり、出すぞ出すぞと見せつけながら、マスク配布などとしょぼい対策をだしてくる心は、「宣言を出せば何とかなる」という期待を盛り上げて、政権延命を図っているだけなのです。
今の政権のマインドで、宣言を出せるタイミングとしたら、「ピークが来る直前」。
(それは患者数が何万人になったときなのでしょうか)
政権側にしてみれば、出したおかげで状況がよくなったと、実は宣言のせいではなく自然減に転じるタイミングでなければなりません。
減少を始めれば、もう非常事態を宣言するのは遅すぎます。
どうせ、何をやっても「遅すぎた」とそしる人はいるでしょう。
それを引き受けて、国民全体のために断固として宣言を出し、実効ある対策を打ち出せるトップであるでしょうか。
とてもそうとは信じられない、この7年間ではないですか。
ゆえに、非常事態宣言が出るとしたら、医療崩壊が明らかになり、東京がイタリア北部のような惨状を呈したときでしょう。
せめてそのタイミングで宣言を出せるような、最低限の勇気を、トップが持っていればいいのですが。
まあ、ワクチンができなくても、何千万人かが感染し、多くの国民が免疫を獲得すれば、ピークは過ぎるでしょう。
そこから振り落とされる(死ぬ)列の中に、自分が入っていないことを祈りつつ…