神からの逃走 2
哲学問答です。
実話はほんの一部だけです、ご安心を。
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「父が癌で死んで学校をやめざるを得なくて、仕事もひどいのしかなかったから辞めてしまったらもう雇ってくれるところもなくて… これは私の試練なのか」
「そうです。 神は乗り越えられる試練しか与えない」(「コリント人への第一の手紙 第10章 13節」より)
「へっ、じゃあ拗ねてしまった私は神の試しに負けたんだね」
「いいえ、あなたは生きていますから勝ち残りました」
「じゃあ死んだ奴は負けかい」
「いいえ、死者の魂は救われました」
「死んじまったものの声をどうやって知った?」
「信じる者は救われる」
「言ったもん勝ちだね」
「神はすべてを知っています」
「じゃあ父がたまたま死ぬことが分かったので私への試練に用意したのか?
父は私の試練のために神に殺されたのか?
私に試練を与えるために父を殺したのか?
たまたま死にそうな父を試練に使ったのか?
父は神の道具かな?」
「お父様が亡くなったことはお気の毒です」
「いや、ならば父にとってはどうなんだ? 癌は父自身への試練なのか? 父は乗り越えられなかったのか?」
「いいえ…魂は救われました」
「そういうのいいから!」
「お父上は天に召されました」
「答えになってないよ?」
「信じる者は救われる」