TETSUYAの航海

テツガク好きな医療人です。時々イラスト練習中。

病院事情 1.病院はなぜ不正をするのか

TETSUYAです。

 

理学療法士です。

以前勤めていた病院では、リハビリ課の管理職だったこともあります…経営会議にも出ていました。

採用にも毎年かかわっていました。人数枠を獲得するのは大変でしたが、採用に関するスケジュールもツールも面接も、ほぼ全権を持たされていました。

理学療法士会(地方士会)の役員もしていました。

社会人大学院では日本各地の病院の経営者にインタビューする研究をしました。

今は訪問看護ステーション勤務の訪問リハビリです。

 

そんなわけで、結構ベテランですので、少しは医療界のことを語れると思います。

つらつらお話ししてみます。

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まずは病院が「儲かるかどうか」という話です。

普段はもうかりません。

医業利益だけでいえば病院の6~7割は赤字です。

 

「2022年度病院経営定期調査集計結果」

https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/221214_2.pdf

 

だからなのでしょうか?

こういう不祥事が、「えっ」というくらい広範に起こるのは。

news.yahoo.co.jp

www3.nhk.or.jp

 

病院は「営利企業」ではなく「非営利企業です。

儲けてはいけないという意味ではなく、利益を組織運営以外の、たとえば役員報酬として分配してはいけないという意味であり、病院のため(人件費含む!)に使う・貯めるのは何ら問題はありません。

なので、「私腹を肥やす」どころか、「赤字に備えてため込む」ことすら至難の業なのです。いやあの手この手でやりますけどね。

 

 

病院の収入は「保険収入」と「保険外収入」に分かれますが。

ほとんどは「保険収入」です。

保険外の「自由診療」をするなら「保険診療」が認められなくなります。同時にやるのは「混合診療」とされます。

(歯科や高度先進医療など一部混合診療の認められることはあります)

 

この「保険診療」という名の、「公定価格」が曲者です。

 

4年ごとに(実質2年ごとに)「診療報酬改定」がありますけど。

ひどいのですよ。

 

4月からの価格改定や報酬体系の改定について、1月ごろにアドバルーンを上げて、3月にやっと値段を決定するのです。

その資料たるや、「中医協答申」が50~120ページほど(うろ覚え)、改定資料が600ページほど(うろ覚え)。これらを関係部署がそれぞれ読み通して、自分に関係ある個所をもれなく検討しなくてはなりません。

 

しかもその行政手続きや請求要件について、4月になっても延々と「疑義解釈」をしているのです。第5次とか6次とか。

 

こんなんで設備投資や新規雇用計画が間に合いますか!?

どれだけ泣かされたことか。

 

 

介護報酬改定は3年ごと。

診療報酬改定と同じような作業が待っています。

そして、早ければ6年ごとに、ダブル改定がやってきます。

もうシッチャカメッチャカです。

 

しかも。

何とか対応して、爪に火を灯すように加算を集めて、ようやく投資(残業代を含めて)を回収したころ、次の改定(早ければ2年後)では、「やったら加算」から「やらなきゃ減算」に変わるのです…

「やって当然」とはしごを外すのです。

 

つまり。

やっと儲けが出たら「はい終わり~」なんですよ。

 

改定についていけなければ、減算の憂き目を見て「赤字」がチカチカとちらついてきます。

 

ぼーっと生きてるわけじゃないけど

だから!

補助金や加算をぶら下げられたら、とりあえず飛びつかないといけないし、早く回収しないと消えるのです。

 

しかも!

人を雇っても改定で必要人員数が替わるかも…と思ったら、思い切った採用はできません。すなわち、人が足りない状態が慢性化しています!

できるやつから辞めていきます。

 

こんなサイクルが、病院経営陣には沁みついているのです。

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病院会計の特徴・まとめ。

内部留保に限界がある。

数年ごとに報酬体系は変わるので、加算とか補助金には素早く飛びつく習性がある。

 

というわけで、コロナ補助金・ワクチン補助金に病院・クリニックが群がるのは無理もないことなのです。

正気を保つのは至難の業なのです。

 

それこそ、食うや食わずでも従業員が辞めないか(私の今いる組織みたいに)、もともと行政に食い込んで、医療行政に影響力を持ち、先を見る力のある経営者でないと、やることは同じでしょうね。

(それ、インサイダーじゃないの?と思ったあなた…鋭い)

 

 

続きを書きたいけど、これだけでも十分気分が重くなりました…続きを書くかどうか未定です…