TETSUYAの航海

テツガク好きな医療人です。時々イラスト練習中。

遅咲きの学び①不屈闘志

呼吸療法認定士とは

「呼吸療法認定士」という、取得に少々努力根気行動力サムマネーの要る資格があります。

 

正式には「3学会合同呼吸療法認定士」といいます。

特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」が合同で創設した認定資格なので「3学会」なのです。

 

医療技術の進歩や人口の高齢化にともない、急性期や在宅医療の分野を中心に、重症者に対する呼吸療法が重要視されるようになり、ICUから在宅まで、また、吸入療法や人工呼吸、酸素療法、薬物療法、呼吸理学療法・生活指導…といった幅広い呼吸療法に関する専門的な知識・技術を持つ多職種スタッフを養成するために創設されました。

国家資格ではなく、学会資格であるのに、現場からは絶大な信頼を持たれ、今では取得者数を掲示する職場や、取得を奨励し報奨金や資格加給をする職場があるほどです。

呼吸療法中(嘘)

 

試験を受けるには、まず2年の現場経験が必要です。

 

そのうえで、学会が認定する講習会・学会で単位を取得しておかなければなりません。

 

そして、画集のような大判の400ページの分厚いテキストを教科書に、指定の講習会(幅広い項目を一流の研究者による指導で網羅していないといけないので)を受講しますとようやく受験の条件がそろいます。

 

出願は特定記録郵便のみで、受験申し込みが定員超過した場合は「早い者勝ち」だった(現在は密を避けて抽選となります…以前のように早ければ安心という保証がなくなり、より条件が悪い気がする)ので、出願日の朝は各地の郵便局窓口に受験生が封筒を抱えて並ぶ光景が見られました。

事情を知っている郵便局だと、すべて9時受付の消印を押してくれたとかいう噂。

気の利いた職場だと遅刻を許してくれますが、条件が悪いと午前有休をとらないといけませんでした…

 

こうして東京で認定試験を受けます。

マネーが掛かるといったのは、講習費と受験費と、この旅費です。

 

申し込みから合格発表まで約1年かかります。

 

格通知が12/24に配達されることでも有名です(笑)

プレゼント~



2022年の呼吸療法認定士認定試験の合格率は68.5%です。

試験に不合格でしたら、講習会の単位は3年は持ち越せます。2浪まではいいが、それ以上は一からやり直しです。

ちなみに5年ごとに更新ですので、講習会受講などは資格を放棄したくないならば一生続くのです。

 

私の挑戦(逆境)

前の病院では、6年ほど管理職をしていました。

その間は本当に忙しく、担った重責もあり、資格試験への挑戦はあきらめていました。

しかし。

忘れていたわけではなかったようです。

 

休職明け、一般職員として復帰し、2年も過ぎてうつ症状もようやく寛解したころ、ふっと「挑戦しよう」という気持ちが芽生えたのです。

 

職場の長はいい顔をしませんでした…

 

「職場の役に立つのか」「日常の職務に影響を及ぼさないように」

 

前年までだったら跳ね返す気力はなかったでしょう。

しかし、その時は「自分の人生の持ち物は自分で作る」という気概があふれだしていました。「宙船(そらふね)/中島みゆき」です。

 

♪その船を漕いでゆけ

お前の手で漕いで行け

お前が消えて喜ぶものに

 お前のオールを任せるな…

 

誰にも助けてもらえない試験勉強が始まりました。

 

夏休みをとるのも、他の職員には気持ちよくとらせるのに、認定講習会に行く私には厭味ったらしく「帰省とかしないのか、他の日にも休みを取ることはないか」と付け加えるのでした。

 

極めつけは、同僚の結婚式が試験前日に決まり、二次会の練習に参加させられたこと。

二次会の出席自体を断りたいほどの人生の一大事なのに。

「自分のためだけのことで仲間の人生の大イベントを断るとかどうかしてる!」と別室で怒られたのでした。

だって。

職場は大阪で。

彼女の結婚式場は広島で。

そして試験会場は東京。

二次会でお酒飲んで踊ってる場合じゃないんですよ。

新幹線で広島から東京まで前日の夜に行くんですよ。

一刻も早く宿にいきたいんですよ。

 

おめでとうの声もそこそこに駅に出発する私に、同僚たちは上司の顔色を窺ってか私には声も掛けませんでした…

新幹線の中でも疲労と若干のアルコールでぐるぐる回る頭で、まとめノートを前にガリガリと最後の追い込みをしていたのでした…

 

 

決心してからは、講習前からも参考書を写したり調べまくったりしましたが、それでも講習会に行けば、そんなちまちました勉強とはレベル違いの講義の質と量です。

記憶力も若いころとは全く違います。

書いても書いても忘れるのです。

泣きそうでした…

いや。泣いても進む。泣きながら書く。それだけでした。

 

毎日毎日朝から晩まで問題集に書き込み、ノートにまとめなおし。

問題集は数冊ありましたが、すべて4周以上しております。

上記の教科書まとめノートも3周書きました。

(念のため。その知識の大半はやはり忘れるので、時々復習しないといけません)

 

 

結果発表!

 

逆境のおかげで!

合格を手にしたのでした…!

逆境こそ、人を成長させる!

(時もある)

不屈闘志バンザイ!

mangapedia.com

じゃなくて。
 
この場合、いい年をして試験勉強に取り組んだことに胸を張りたいのです!
最大の逆境は年齢だったと思うのです…