TETSUYAの航海

テツガク好きな医療人です。時々イラスト練習中。

ハイジと私 ③救われたのは誰

さてお待たせ。

 

allnightsailor.hatenablog.com

 

allnightsailor.hatenablog.com

前回までの要点…

 

おんじはハイジによって人生に価値を与えられました。

生まれ変わったといっていい。

 

おんじは

クララの人生を変えました。

引っ張ったのはハイジですが、環境を整えたのはおんじでした。

 

*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*

周囲の人々

歩けないクララを守り続けたロッテンマイヤーさん。

方向性はクララの気持ちには沿っていませんでしたが、だれが浮かれようとブレーキ役として機能する、この上ない守護神です。

ハイジを閉じ込めて夢遊病にしてしまったりしましたが、それもクララを想い過ぎてのことでした。

 

ゼーゼマン家の大奥様こと、クララのおばあさまの愛情は疑いようもない。

大資本家・ゼーゼマン家の基礎を築いた立役者です。「都会は嫌い」と山の別荘に住んでいます。ロッテンマイヤーさんなど手玉に取られます。

おおらかで優しいだけでなく、ダイナミックで楽しいひとですが、クララが歩けないことに心を痛めています。

優しく楽しい老婦人(大金持ち)

このように愛と善き性質に溢れたクララのおばあさま。

ハイジを信じ、おんじを信じ、愛しい孫を山に託します―

 

そして迎えた、この日。

夢にまで見たクララの歩く姿を見ることができ、二本の足で立つクララを抱きしめる喜びに包まれました。

 

パ、パパにも抱きしめさせておくれ…

 

ヤギ使いの少年・ペーターのおばあさんもまた、ハイジに生きがいを与えられました。

ハイジと出会って以来、ハイジが来てくれることを、日々最大の楽しみとしています。ハイジがフランクフルトに連れて行かれた時には深い悲しみに沈みました。

戻ってきたときの「もう、どこにも行かないでおくれ…」は心底の叫びでした。

 

(「ええ、もうどこにも行かないわ」というハイジの声も悲痛なものでした…

 それまでの大人の(主にデーテおばさんの)都合で引き回される人生に

 自分の意思で居場所を定めたい願い、あるいは強い意志です)

 

盲目で本が読めなくなり、糸繰りしかやることがなく、婿に死なれ、貧しい生活をしていたおばあさんに、クララがあるとき讃美歌の本を朗読して聴かせます。敬虔なキリスト教徒であったおばあさんには、この上ない祝福の時間でした。

おばあさんが心からのお礼を述べた時、まだ障碍者であったクララは自分が人として認められたように思い、感激の涙を流しました。

クララもまた、人に世話されるだけの人生に、深い苦しみを抱えていたのです。

ありがとうおばあさん…

そのような年代を超えた交流をする仲間として、クララが帰った後、ゼーゼマン家からベッドや白パン、ソーセージを山ほど贈られたのでした。

いわば暮らしの後ろ盾を得て、祝福が訪れたのでした。

 

 

そう。

実はこのお話は…

 

みんなが寄ってたかってクララを救った物語なのです

 

そして、

リハビリ物語の巨編だったのです…!

*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*:.,.:*

リハビリテーション(Rehabilitation)とは

日本語では「再適合させること」、「元に戻すこと」です。

ゆえに昔は「機能回復」や、よくて「社会復帰」などと訳されました。

 

しかしそういう現象的なことではない。

「その人らしい「LIFE」を創っていくこと」こそリハビリの目標です。

「LIFE」の訳は、生命、生活、人生ですよね。

人の尊厳やいのちの価値を取り戻す道しるべを、当事者や家族とともに生み出していくことが、リハビリの目標であり、喜びなんです。

(私はそのような仕事を任されていることに大きな喜びを覚えます)

 

ハイジ自身も両親の死を乗り越えて、人生を切り開いていく予感…

登場人物みなが、自分らしい「人生」を再構築していく…

これをリハビリテーション物語と言わずして何と言おう。

 

その物語の美しさもさることながら、山の描写(描いたのは…故・高畑勲です)は、現地の人にも「日本人が描いたとは信じ難い」と驚きをもって迎えられるほど美しいものでした。

 

しかし、そもそも「アルムの山」の人を癒す力なくしては、物語はあり得ませんでした

ゼーゼマン家の主治医・クラッセン先生は卓越した医師でしたから、それに気付いたのですね。

 

そう。

 

自然は

人の体や心を癒す

最大の舞台装置、なのです。

大団円

さあ、旅ブログを探しに行こう…!

このはてなの海で。

…趣旨変わっとるやん。