医療崩壊の意味
妻「コロナだってわかってなかったり隠してたりして、病院に担ぎ込まれて、医療スタッフにうつって病院閉鎖になるとかよね?」
ちがーう!
我が妻(TETSUKO)が、医療崩壊の意味を分かっていなかったので、ひとくさり説明した。
感染症病床の運営には、ベッドだけあってもいけない。
現在の事態に対して、資源が「増える」ことは、全く期待できないことを指摘しておく。
運営マニュアルと機材・器具。
人の動きを指揮監督するリーダー。
訓練を積んだ、診断力確かな専門職。
これらが必要なのである。
ゆえに、感染対策委員会は、医療安全・褥瘡対策と並んで、病院の運営の基幹の委員会となる、重要な医療資源なのである。
”感染管理認定看護師”が”救急看護認定看護師”とは別の資格であることからも、感染対策といっても、その指揮をとることができるのは別の分野の仕事であることがわかる。
これらの資源と運用の育成は一朝一夕にはできない。
病床数は限られているということはお判りいただけたであろうか。
ところで、日常「ひまな」看護師などいない。
通常業務は職員が17時までいっぱいいっぱい働いてこなしている。24時間動くための「申し送り」や、その他事務作業・連絡業務もあるので、おおむね残業しながら働いている。
病院から5時過ぎて書類のサインをお願いするような電話があったら、どうか快く聞いてやってほしい。みんな割と無理をしているのだから。
勤務すべき最低の人数は病床の数で決まっている。
しかし、これが実は厄介である。
パートタイム。変則的週当たり勤務数。
そして、夜勤。心身へのストレスに加え、16時間の長時間勤務である。夜勤の前後は休みをしっかりとらないと、心身に危険があるのだ。
また、夜勤できないものも働いているので、負担は偏る。
だから、最低人数で病棟が運営できるわけがない。
しかし経営上は、人数をできるだけ少なくしたいと、組織は考える。
このような背景があることを踏まえてほしい。
新規患者数が毎日百人以上増えている。
治療終了者がその数で増えていたとしても、治療期間、潜伏期間は数週間もある。
4/3の新規退院は9名。新規入院は228名。
4/11 新規退院46名、死亡6名。新規入院必要(待機含む)602名。
毎日、この差が開いていく。あと数週間は、潜伏期間だから、それは避けられない。
これに対し、医療要員は、増えない。
ゆえに、割合ではなく、実患者数が問題なのである。
余力がない中、日々脳卒中・心筋梗塞・事故・骨折・糖尿病の悪化による足趾壊死などは毎日起こっている。
ことに呼吸困難が起こったら、まず新型コロナを疑われ、すぐに対応できない。
これらに対応できなくなっているのだ。
病床も、医療者も、すでに足りない。
これが「医療崩壊」だ。
やっと妻にも分かったようだ。