TETSUYAの航海

テツガク好きな医療人です。時々イラスト練習中。

脳内都市 2.「お金は脳に戻っていく」

繰り返しになりますが、ある福祉業界の方のブログ…


「自分は都市の中で精神障害者の作業所のスタッフをしているが、ある時大自然の中で経営されている別施設を見学する機会に恵まれた。

雄大な自然を感じて日々を過ごす、その作業所に魅せられ、利用者の回復すらこの大自然に任せるべきではないか… そういう思いにとらわれる。

そして、自分の境遇を引き比べ、自分の生活や仕事(場)に空虚さを感じる。

しかし、そのふわふわした気持ちを抱えて自職場に戻ると、利用者が待っていて、『自分の居場所はここだ』と改めて感じた」…というお話でした。

 

allnightsailor.hatenablog.com

 

先日「どんなに心洗われる経験をしても、人は自分の脳へ戻っていく」というお話を展開しました。

では、なぜ彼は、都会の施設に戻ってこなければならないか。

 

今日の参考図書は「パンツをはいたサル」(栗本慎一郎)、その他…です。

「パンツをはいたサル」栗本慎一郎


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21世紀の資本論」(トマ・ピケティ)お読みになりました?

 

80年代以降の富の集中はどんどん進行し、世界は不平等化していく一方であります。

 

資本家の方々は決してトリクルダウンなど考えません。吸い上げるのみです。

GAFAは税を支払わず、人を雇わず、ただ金を集め続けるだけです。

 

搾取ならまだいい。

しかし、昨今の「支配者」は、増税(消費税は何十%になるでしょうか)やら「投資」促進やらデフォルトやらで、余剰や自由度を削り削り、行く行くは「ベーシックインカム」で生活しなさいと、完全にお金で人の生活を縛ろうとしています。

 

余談ですが、多分マイナンバーカードはその重要なツールになるでしょう。

銀行にある程度の残高がない人は、マイナンバーカードではじかれる。市民として認められないことになります。

すなわち「人間奴隷化」です。

 

 

しかし…

個人から搾り取って

世界中で失業者があふれて

 

誰もサービスや財を買えなくなったらどうするのか。

儲けが出なくなるではないか?

 

実のところ

「彼ら」はそんなことは心配していない。

(いや多少憂鬱を感じているかもしれない)

 

それは

「大金持ち」の間でお金を回していれば、個人は食うや食わずでも「企業」は儲けを生み続ける。

ケインズですね。

その「実績」もしくは「成長率」を見れば幸せに浸れるのです。

 

 

なぜそれでいいのか。

 

お金は呪物だからです。

彼らは取り憑かれているのです。

持たざる者には生活の手段そのものであるのに、「彼ら」にとっては生活の手段などではないのです。

 

 

 

お金は歴史の授業で教えられたような交換の仲立ち物品として生まれたわけではなかった。

それであればお金を貯める行為への執着が説明できないでしょう。

 

まず共同体間での折衝が起こった時、「災い」を避けるための贈り物という文化が生まれ、そのためにつくられた呪物です。

お金を「払う」ことによって、共同体内部の穢れを「祓う」のです。

お金のほかにもいろんなパターンがあります。

お中元・お歳暮もその一つ。共同体の秩序を乱すなどの「災い」を避けるためのおまじないなのですね。

 

 

そのような文化のバトンとして作られたのが、貨幣です。

ちょっと雑に述べますと…

 

「お金」はいったんは実態を必要とし、呪物であればなんでもいいやと様々な貨幣が生まれ(性器を象ったものが多いようです)、同じく呪物であった金など貴金属を代表的なそれとして設定しました。

 

それではなかなか量が増えないのでなんなら紙幣に代わりました…

ついには実態を離れ、紙の上の文字に置き代わり、今ではクラウドサーバーの中にあります。

 

脳から生まれたものが脳の中に帰っていったのです。ただし体の外の電脳ですが。

 

 

このように、食うや食わずから抜け出したとき、脳の世界が膨張し始めたため、現代人にとっては人生は脳の中の世界でもういっぱいいっぱいなのです。

しかも、「もっと、もっと」と脳を広げやすいよう様々な発明がなされてきたのでした。

体外に電脳として広がった脳は、人類すべてを支配下に置こうとしています。

ダボス会議で「グレート・リセット」とビル・ゲイツが口にすることは「呪い(まじない)」なのでしょうか。

あるいは「指示」なのでしょうか…?

(脱線しました)

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さて。

自然に生きたいと願いつつ、なぜ、人は「都会」へ帰ってこなければならないか?

 

福祉業界の彼、および利用者さんたちは

都市から生まれたのです。

なんとそこは脳の中なのです。

あ、ご存じでしたか?

 

「都市」は脳に負荷をかけることで

「市民」から「お金」を生み出すシステムです。

 

もちろん都市以外よりも精神を病む可能性は高まります。

「彼ら」施設利用者は、都会ゆえに生まれたわけです。

 

しかも…

 

その「生活」を支えるシステムがお金でしか動かない。

 

 

「都市」は何層にも「システム」を用意していて

様々な形で人をからめとります。

 

システムがないということは自助努力が必要ということ。

「自然」は「脳」の外にある、予測や対策を超えたことで満ちた世界です。

安全でもなく不慮の事故もあり、諦めが必要な時もあるでしょう。

都市から「自然」の中にいくには勇気がいるでしょう―

 

都会との訣別は命がけなのです。抜け出せないのは当然です。

「脳内都市」から生まれたものは

「脳内都市」に還らざるを得ないのです。

 

だから冒頭の彼は帰ってこざるを得ないし

帰ってきてほっとするわけです。