環境対策としてのEVの変数(エネルギー保存の法則)
EUはEVへ…
EV(電気自動車)、HV(電気・ガソリン併用自動車)。
SDGsの重要アイテムとして、EUではガソリン車の新規販売禁止と、EVにすべて振っている。
これは環境対策として正しいのだろうか?
1)電池廃棄問題
リチウムイオン電池はガソリンエンジンよりはるかに耐用年数が低く、7~8年で車を動かせるほどの容量ではなくなる。
廃棄費用をご存じか。
一昔前に流行ったプリウスでは、個人がバッテリー交換するには工賃含め17~18万円。
10万台では170~180億円。
しかしこれは、個々のユーザーの支払い費用のことである。
その電池を廃棄物処理するのには、総額でいくら掛かるのか…
(額は知りません)
ところで。
すでに大量の電池廃棄問題に直面している中国…広東省でマンガン汚染・フッ化水素汚染が問題になったりしているのはご存じか。
とても厄介な産業廃棄物なのだ。
とてもとても廃棄費用の掛かる、環境負荷も大きい産業廃棄物なのだ。
対策として、リサイクル、リユースの開発がなされている…という。
いや、リサイクル・リユースっていうのは、今までこんな厄介な代物を使わなかったところにわざわざ使わせるということでもある。
いきなりそこに問題があるが。
まあおいとくとして。
どんなに使いまわしても、いつかは捨てなければならない。
ゴミは増えるのだ。
ごまかされてはいけない。
…しかもだ。
ちゃんと処分されるだろうか?
熱海市で産業廃棄物(残土)処理の不正で土砂崩れが起こったことを、読者はもうお忘れであろう。
違法産廃廃棄に起因する有害物質の流出など、枚挙にいとまがない(個人の印象です)。
産業廃棄物違法処理業者の断末魔の叫びと「闇の司法官」の嘆息が聞こえる…
「ならば…ほかの何ものかが 人間に罰を下すだろうよ」(うろ覚え)
2)電池製造に絡む問題
さて電池の原料はなにであるか。
ところで「レアメタル」とは、レア(希少)なメタル(金属)資源である。
生産量は増加する一方、資源の取れる地域は限られる。
取り合いである。
資源価格は高騰している。
しかし、それでもなお、生み出すエネルギー量に比べて、原料価格はあまりにも安い。
隠れ費用があるのだ。
それは…資源採掘現場の搾取だ。
リチウムを採掘する鉱山周辺の汚染、海底の破壊、廃棄物の増加…
また、児童労働、先住民との軋轢(水資源の汚染・破壊など)、労働災害の軽視などがあり、アムネスティは人権問題を警告している。
リチウムに限らず、すべての鉱山にはその問題が付きまとう。
これらの対策費が、消費地から十分支払われたとはついぞ聞かない。
なんなら運搬費どころか「送料無料」を求める我らである…ちょっと反省。
人間の値段は、資源価格に反映されていないのである。
3)EVはCO2削減するか
エネルギー保存則は宇宙の真理である。
ビッグバンで放出された(←ざっくりすぎる)すべてのエネルギーの総和は変わらない。
そして姿を変えながら最終的に熱エネルギーとして宇宙へ還る。
そしてエネルギーの形を変える際にはロスが発生するのだ。
(もちろん受験以来のうろ覚えです)
ガソリンエンジンは、①ガソリンを精製して ②運んで ③車のタンクに充填して ④ガソリンを爆発させてピストンを動かしてエンジンを回す。
EVは、⓪電池を作って ①発電して ②送電して ③電池に充電して ④モーターを回す。
ガソリンの④は、単純だがEVでは①と④になる。
ロスが発生しているだろう。
(ところで、ガソリンの③はEVの③と違って、30分もかかるまい。時間ロスだ)
ガソリン車とEV車のCO2排出量の試算(原油から)は諸説あって、試算する団体の所属によって説が決まるので、私は「エネルギー保存則」だけを信じたい。
製造のCO2排出はもう、EVが圧倒的に多い。
廃棄についても、ガソリンエンジンは埋めればいつか鉄鉱石になるだろうが、EVはエネルギーを食い、かつ厳重管理が必須だ。
ハイテクノロジー産品は、エネルギーの塊なのであるから、製造・廃棄するときにたくさんのエネルギーを必要とするのである。
この「エネルギー」には、人的資源も含む。
しかもガソリンは使わなければ置いておけばいい(規制や限界はあります)。
電気は作っちゃったら使わなければ捨てるのみ。
このように原料からカウントすれば。
環境負荷を削減しているとはいえない。
EVがCO2削減になるためには「電気を原発で調達すればいい」という発想がセットである。
なので、頑張って続く。